「ITパスポートや基本情報について勉強していたけど、暗号(暗号化)ってなに?」
そんな疑問を抱えるあなたへ。
ここでは、暗号(暗号化)とは何かを歴史の観点も踏まえながらわかりやすく解説します。
- ITパスポートの勉強をしている人
- 基本情報技術者試験の勉強をしている人
- エンジニアに興味がある人

ITについて学んでいると、ネットワークやセキュリティの話題で「暗号」が
よく出てくるんだけど、いまいち分からないんだよね

なんだか難しそうなイメージがあるよね
分かりやすく解説しよう!
はじめに
今回は「暗号入門①」です。
歴史の流れなどを踏まえて、暗号の原理や必要性などを分かりやすく解説していきます。
暗号(暗号化)とは
ざっくり言うと「他人が見ても意味が分からないようにする技術」のことです。

まず人間の場合を考えてみましょう。
左の男性から、右の女性に対して手紙が送られており、メッセージは「ザギンでシースー」となっています。これは「銀座でお寿司」という意味の業界用語(らしい)ですが、それを知らない人にとっては意味の分からないメッセージです。
コンピュータの場合も同じです。
左の女性から右の男性へメッセージを送っています。これはとある方法で元のメッセージを暗号化したものですが、どのように暗号化したかわからなければ、解読は難しいでしょう。
このように、ほかの人から見たときに意味が分からないようにすること、あるいはその技術を暗号(暗号化)と呼びます。
ちなみにですが、人間の場合でもコンピュータの場合でも、メッセージを盗み見ようとしている人がいますね。
このように「通信・メッセージを盗み見ること」を「盗聴」と呼びます。

暗号の歴史
インターネット登場のはるか昔から、盗聴への懸念は存在していました。

盗聴が存在するということは、すなわち通信が存在しているということです。
古代の通信としてイメージしやすいのは「伝令」ではないでしょうか。
例えば、味方同士で戦の作戦について伝令をやり取りしている場面を想像してみてください。
図の例では「あしたこうげき」というメッセージを味方に届けようとしています。
敵目線では、このメッセージを入手することができれば戦を優位に進めることができるため、ぜひ「盗聴」をしたいところです。
現代の通信でも考え方は同じです。
誰かがやりとりしているメッセージを盗聴することで、何らかの利益を得られる人物がいれば、その人物にとっては「盗聴」する動機・メリットとなります。
古代の暗号の代表「シーザー暗号」
そんな古代の通信における盗聴対策(セキュリティ)としてよく知られているのが「シーザー暗号」です。

シーザー暗号とは、古代ローマの将軍・政治家である「ガイウス・ユリウス・カエサル」という人物が考えたとされる暗号です。
これは暗号全般にも言えるコンセプトですが、「通信の途中で見られてしまうのは仕方がないとして、メッセージが見られても大丈夫なようにしよう」という考えで成り立っています。
シーザー暗号の仕組み
シーザー暗号の仕組みは「メッセージの文字を後ろ(または前)に何文字かシフトさせる」というものです。

例として分かりやすくするために、日本語のメッセージで考えてみましょう。
「あしたこうげき」というメッセージを送りたい場合、それぞれの文字をシフトさせます。
シフトさせる向きや文字数はその時々によって変える必要がありますが、今回は「1文字後ろにシフトさせる」ことにしましょう。
メッセージの1文字目「あ」を五十音順で1文字後ろにずらすと「い」になります。
同じように2文字目の「し」を五十音順で1文字うしろにずらすと「す」になります。
これを最後まで繰り返すと「あしたこうげき」は「いすちさえごく」という文字列に変換できます。この動作を「暗号化」と呼びます。
メッセージを受け取った人は、暗号化の時と逆の手順を行うことによって、もとのメッセージを得ることができます。
メッセージが送られている途中で盗み見た人は「いすちさえごく」という文字列を見ても何のことだかわからず、暗号化されているかもしれないと思ったとしても暗号化の手順を知らないため、もとのメッセージに戻すことはできません。
歴史において似たような暗号方式はたくさんありますが、今回はその代表としてシーザー暗号を紹介しました
コンピュータの暗号
シーザー暗号と異なりコンピュータの場合は、「数学的な処理をする」ことで暗号化を行います。

具体的な処理方法については割愛しますが、「Hello」というメッセージが暗号化されることで到底人間には読めないようなメッセージとなります。
シーザー暗号の場合と同じように、メッセージを送っている途中で盗聴したとしても、もとのメッセージを知ることは難しいです。
まとめ
今回は「暗号(暗号化)」、「シーザー暗号」について解説しました。
次回は暗号入門①で登場した技術や仕組みについての用語を整理していきましょう。